リスティング広告の効果改善を最大限に行うためには、想定するターゲットにマッチしたキーワードや広告文を検討して配信するだけではなく、事前の環境設定や運用段階におけるチェックとメンテナンスの想定が必須です。本記事では、「効果を最大限に引き出せるオンライン広告の運用をスタートする際に不可欠なポイントについて詳しく解説し、成功する広告キャンペーンを運用するためのポイントについて解説します。
リスティング広告の効果改善につなげるためには、まず機能の理解から
リスティング広告は、Google、Yahoo!JAPANなどの検索エンジンで、検索したキーワードに応じて、広告主が訴求したい内容をテキスト形式の広告を検索結果に掲載して、ターゲットとするユーザーを集客するためのWEB広告です。リスティング広告自体は2002年からGoogle、Yahoo!がサービスを開始していますが、20年以上経過し、その配信アルゴリズムも大きく進化し、精度の高いターゲティングができるようになっています。
例えば、Google広告では、Googleが推奨する広告アカウント設計として、hagakure、GORIN、最近ではMUGENといった概念が公開されており、それらの変遷の中で推奨の広告配信方法も進化してきました。それぞれの詳細の解説は今回は割愛しますが、いずれも機械学習を効率的に進めつつ、獲得する成果を最大化していくために、必要な概念になっています。
さらに、スマートフォンの普及に伴って、広告フォーマットも大きく進化しており、設定できる要素も非常に充実化してきました。そのため、最新のGoogle広告やYahoo!広告の機能や広告配信のアルゴリズムについてもしっかりと理解した上で、それらの仕様にあわせて広告の準備を行うことが、運用スタート後にリスティング広告の効果改善につなげるためには必須になっています。
Google広告、Yahoo!広告の機能をふまえて、抑えておくべきポイントをいくつか解説します。
リスティング広告設定時に必要な事前に検討しておくべき項目
Google広告やYahoo!広告にてリスティング広告を配信する際に、その機能を最大限活用するために検討すべき項目がいくつかありますが、効果改善に直結する内容を3つご紹介します。
1.広告グループの構成
Google広告、Yahoo!広告のいずれも、広告を表示させるユーザーを絞り込むキーワードは、広告グループに登録して管理します。この広告グループをどのように作成するかが後々の効果改善に大きく影響します。適切なグループ構成とキーワードのリストアップにより、広告を特定のターゲット層に正確に表示できます。またグループごとに表示させる広告文を登録する仕様になっているため、テーマや関連性の高いキーワードをカテゴライズして登録しつつ、それらの具体的な検索ニーズにマッチした広告文を登録することで、よりユーザーに対してより関心を引く広告を提供できます。例えば、注文住宅を検討しているユーザーの中には、間取りや価格など様々な情報収集をしているユーザーがいますが、価格に関して調べているユーザーに対しては価格訴求の広告を訴求するといった形です。また、Google広告、Yahoo!広告のいずれも、キーワードと広告文に関連性がある内容になっているかを品質を評価する基準として設けており、評価の高い広告ほど配信が優先的に進められる仕様になっている点からも、関連するニーズごとにキーワードをカテゴライズして広告グループに登録し、それらのキーワード検索に対応した広告文を準備していくことは非常に重要です。
2.配信目的に応じた単価設定
リスティング広告の費用は、クリック課金型になっていますが、入札金額を設定して行く形になります。ターゲットユーザーの検索時に、対象のキーワードに対してオークション形式でクリック単価が決まる形になっていますが、どういった目的で広告配信を行うかを明確にしておき、配信目的に応じた単価設定を行うようにしましょう。
Google広告では、スマート自動入札という機能が提供されており、配信目的に応じて以下のような単価設定を活用することが出来ます。
目標コンバージョン単価
コンバージョンを獲得するのにかける費用目標が決まっている場合に活用すると有効です。例えば、1件のコンバージョン獲得にあたって10,000円以内に収める必要がある場合などにこの自動入札を活用します。
目標広告費用対効果
広告費用対効果を最大化したい場合に活用すると有効な自動入札の設定となります。例えば、広告予算50万円かけた際に可能な限り売上を最大化したいといったようなケースで活用します。
コンバージョン数の最大化
リスティング広告の予算に対して、獲得するコンバージョン数を最大化したいというケースで活用することが有効な自動入札機能になっています。予算に対してのコンバージョン数の増加や、コンバージョン獲得コスト、いわゆるCPAの改善を見込む事ができます。
コンバージョン値の最大化
コンバージョン1件あたりの価値をなるべく最大化するように広告配信が行われる自動入札機能になっています。こちらは必ずしも、コンバージョン数が増えるものではなく、予算内でコンバージョン値が最大化するように配信が行われます。
クリック数の最大化
予算内でできるだけ多くのクリック数を確保する事ができるように配信の調整が行われる自動入札の設定です。同じ予算内でできるだけ多くのクリック数を確保したいといったケースで活用することが有効です。
以上が主な単価設定の機能です。いずれの設定を活用するかで、クリック単価やコンバージョン獲得コストが大きく異なってきます。リスティング広告の配信目的が何かを事前にしっかりと整理した上で、最適な単価設定を行うことで、効果改善にも大きな影響が出てきます。
3.コンバージョン計測設定
Google広告、Yahoo!広告いずれも、このコンバージョン計測の設定を行っておくことで、広告のコンバージョン獲得への貢献度をしっかりと評価することができるようになります。また先程解説した自動入札機能の中には、コンバージョン獲得に関連する内容もありますが、それらはコンバージョン獲得のデータを機械学習に活用して配信の最適化が行われるため、そもそもコンバージョン計測の設定を行っていなければ、自動入札機能がうまく機能しないという結果になってしまいます。そのため、コンバージョン計測の設定は必ず行うようにしましょう。
Google広告、Yahoo!広告のいずれもコンバージョン計測を行うための大まかなステップは下記のような流れになっています。
1.管理画面上で計測するコンバージョンを登録する
2.コンバージョン登録にともなって、計測用のコードが発行される
3.計測用のコードをコンバージョンとしてカウントする対象ページに設置する
さらに、Google広告では、アトリビューションモデルの設定により、リスティング広告のコンバージョン獲得への貢献度をより正確に評価しながら、コンバージョン獲得に向けて配信を最適化する仕組みも提供されています。コンバージョンに至るまでには、ユーザーは広告と複数回接触して、何度かWEBサイトに訪問する可能性が想定されますが、どのタイミングで広告と接点を持ったかを計測しながら、広告がコンバージョン獲得にどのように貢献しているかを評価し、配信の最適化につなげるものです。
これにより、初回の接点獲得に貢献しているのか、比較検討の中間プロセスでの広告接触が発生しているのか、もしくはコンバージョンに至った最終の刈取りに貢献したのかなど、より広告の貢献度を細かく評価しながら配信を最適化できるようになります。基本的には「データドリブン」という設定が推奨されています。
より適切なデータ計測、分析を行うための環境設定
Google広告やYahoo!広告の管理画面では、表示回数、クリック数、クリック率などの広告配信の各種パフォーマンスを数値で確認することができるため、広告の配信効率を確認することができますが、広告クリック後のサイトアクセス状況もあわせて確認することで、より正確にリスティング広告の配信状況を評価する事ができます。そのためにも、ウェブサイトのアクセス解析ツールであるGoogle Analyticsにおいて、Google広告やYahoo!広告経由のアクセスを計測することができるようにしておきましょう。
Google広告、Yahoo!広告のアクセスを計測するための設定は、それぞれ異なっております。
Google広告の場合は、Google Analyticsとアカウントをリンクさせることができます。その設定を行うことで、Google Analyticsの画面で、Google広告経由のアクセスを確認することができるようになります。
Google広告を運用しているログインアカウントとGoogle Analyticsのログインアカウントが同じアカウントになっているか、Google AnalyticsのログインアカウントがGoogle広告に対しての権限を有しているかのいずれかが必要です。
上記のいずれかができていれば、Google Analyticsの設定のメニューからGoogle広告とのリンクを設定することが可能です。
Yahoo!広告をクリックしてウェブサイトに訪問したユーザーであると識別するためには「広告のリンク先」に追加設定が必要です。GoogleアナリティクスのURL生成ツールを利用し、広告文ごとにYahoo!広告経由と識別できるような下記の太字下線部のようなパラメータを設定する事が必要になります。
https://◯◯◯◯.com/campaign-special/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=202310_special
さらに配信効率を上げ、効果改善につなげるための表示オプションの活用
リスティング広告は、広告の見出し、説明文というのが基本の構成ですが、表示オプションを活用することで、さらに表示する内容を様々な形式で追加することができ、広告の視認性を高めてユーザーからの広告への反響を高めることが期待できます。この表示オプションを活用しているかどうかで、広告配信の機械学習にも影響すると言われており、積極的に活用することで、広告配信の最適化がより進められて、広告に期待する効果を最大化できる可能性が高まります。設定を推奨する主な表示オプションをご紹介します。
サイトリンク表示オプション(クイックリンクオプション)
標準で広告からリンクさせるページ以外に、サイト内の特定のページに誘導したい場合に、それらのページへのリンクを表示させることが出来ます。
コールアウト表示オプション(テキスト補足オプション)
広告見出しや説明文以外に補足で説明したい情報をテキストで表示することが出来るオプション機能です。テキスト表示のみで特定のページにリンクするなどの機能はありません。
構造化スニペット表示オプション(カテゴリ補足オプション)
予めGoogle広告やYahoo!広告が用意しているラベルにもとづいて、その詳細情報を記載する形で、自社の商品はサービスについて説明するための表示オプションです。ラベルについては、例えばコース、サービス、スタイル、タイプなどが用意されています。自社の商品やサービスについて詳細を説明するのに使用できそうなラベルを選択し、その具体的な内容を登録することで、特定の側面からのPRを行うことが可能になります。
その他にも、電話番号や価格情報を掲載したり、画像を表示できるような表示オプションもリリースされています。これらの表示オプションを活用することで、複数のリスティング広告が競合他社と一緒に並んで表示される際に、自社の広告の表示領域を拡大して表示させることができるようになり、訴求する内容も増やせることから、広告の視認性が高まり、クリック率が高まることも期待できますので、ぜひ活用するようにしましょう。
まとめ
リスティング広告の配信において、より効果を改善するためのポイントをいくつかご紹介しました。これらは広告配信を始める前の準備段階から検討して対応しておくことで、より最適化が進めやすい状況でスタートすることが可能です。キーワードや広告文の検討だけでなく、事前に検討しておくようにしましょう。
今回ご紹介したポイントは、数ある推奨設定のごく一部です。イリスグループでは、リスティング広告の配信を最適化するために、Google広告やYahoo!広告の仕様を研究し、設定が適切に行われているかを診断するための無料のASOサービスも提供しています。現状の広告配信の設定や運用に不安がある方は、無料で診断してレポートをご提示いたしますので、ぜひお気軽にご用命ください。