オンライン広告運用において、コスト削減だけでなく、効果を最大化することは至上の目標です。しかし、自社でのオンライン広告配信では、日々の業務にも気を配らなくてはならず、ミスやロスが発生してしまった経験も少なくはないと思います。
どれだけ良い企画であったとしても、数日をかけて考えた広告文だとしても、ミスやロスが発生してしまうとそれまでの努力は台無しになります。
そこで、今回は自社でオンライン広告(Google広告、Yahoo! 検索広告)を行っているマーケティング担当者にとって嬉しい、配信前チェックで効果を最大化させる方法を解説します。
1.リスティング広告で発生する配信前チェック漏れによる損失とは?
広告配信はかなり複雑でチェック体制が整っていないと様々なロスに繋がります。
今回は、自社でリスティング広告を行う際に発生する配信前チェック漏れの危険度を5段階に分け、チェック漏れで考え得る損失をまとめております。
数字が高いほど配信前チェック漏れが起きたときの損失が大きくなっております。
危険度1:配信状況の報告タイミングが想定できていない
リスティング広告配信を自社で行う場合、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を意識しなくてはなりません。意識だけでなく、上司には配信概要と報告スケジュールを共有する必要があります。共有しておくことで上司は安心して配信結果の報告を待つことができます。
こちらは、直接的な効果の最大化に結びつくわけではないので危険度は1です。
〈考え得る損失〉
・時間のロス
・上司からの評価のロス
危険度2:アクセス解析ツールの分析設定が不足している
自社で行う上で意外に見落としがちなチェック漏れ項目です。冒頭でもお話ししましたが、オンライン広告(リスティング広告)は「効果を最大化する」ために行います。では効果はどこで確認するか?最終的な売上金額や利益で確認できるかもしれません。しかし、大きな企業になるほど広告配信の担当者レベルで瞬時に売上金額を把握することは難しいです。特に利益は様々な雑費を含んでいます。そういった中で「効果を最大化する」ためには、与えられたゴールを達成するために予め目標値を設定し、それに基づくGoogleAnalytics(Googleアナリティクス)での分析が必要です。(他の分析ツールでも同様です。)
適切な分析設定を行うことで、コンバージョン(CV)の達成が分かることはもちろんですが、その1歩手前のマイクロコンバージョンやその他効果の見える化を行うことが可能です。また、上記のような設定をしていないことで、「効果が出ていない!」などの指導を受けることも少なくありません。
〈考え得る損失〉
・時間のロス
・上司からの評価のロス
危険度3:キャンペーン設定が間違っている
ここからは直接的な効果の最大化に結びつく内容になってまいります。
キャンペーン設定が間違っていることで、意図しないユーザーに広告が表示され、クリックされる場合があります。また、過去の設定が残っていることで、終了しているイベント情報が広告として表示される危険もあります。これらにより、無駄なクリックのコストが発生し、広告予算が浪費されます。
特に、忙しいマーケティング担当者がよく行う、キャンペーンの複製は要注意です。
キャンペーンの複製はほとんどすべてのデータをコピーしています。過去に配信したリスティング広告と異なる設定で配信しなくてはならないときには要注意です。
〈考え得る損失〉
・広告予算のロス
危険度4:広告の審査確認が十分にできていない
広告媒体(Google広告やYahoo!検索広告など)によっては、一度審査が通ったとしても再度目視での審査の対象となり、配信直前や配信後に広告が不承認となる場合もあります。
広告が不承認となると一定期間配信ができずユーザーへの販促機会が減ってしまいます。
〈考え得る損失〉
・販促機会のロス
・集客人数のロス
危険度5:1日の予算が正しく設定されていない
自社でのリスティング広告の配信を行う場合、決められた予算で効果を最大化させなくてはなりません。マーケティング担当者の皆様はその目標の実現に向けて、配信時間帯や広告文の検討、配信期間も緻密に計画されていると思います。その努力を台無しにしないためには、1日の予算を正しく行う必要があります。1日の予算はその名の通り、1日でその広告にどれだけの予算を利用しても良いのかを設定するものです。
例えば、30日間で300,000円の予算がある場合、1日の予算は10,000円が適切です。(均等配分した場合)
もし、設定を間違えて1日の予算を100,000円に設定してしまった場合、3日間で予算が消化されてしまい、努力して考えた計画が台無しになり、効果が最適化されていく広告の機械学習が完了せずに広告配信が終了してしまいます。
〈考え得る損失〉
・予算のロス
・販促機会のロス
・集客人数のロス
危険度6:リンク先が間違っている
最も危険な項目になります。また、チェックがしづらいのもこの漏れの特徴でもあります。
リンク先が間違っていることでユーザーを対象のページに誘導できなくなってしまいます。
そのため、その後のコンバージョンにも繋がらず目標の達成ができなくなってしまいます。
また、存在しないページ(404ページ)をリンク先に設定してしまっていると、該当ページがないとユーザーからのクレームにも繋がりかねません。
こちらは様々な要因があるため、よくある要因を以下にまとめております。当てはまるものがないか確認してみてください。
〈リンク先の間違いがおこる要因〉
・単純な設定ミス
・サイトリニューアルまたはサイト修正時:ドメインやディレクトリ構成が変わるため調整が必要です
⇒サイトリニューアルなどの際には、リダイレクト処理を行うことでリンク先の間違いが起きることはある程度防げます。
〈考え得る損失〉
・予算のロス
・販促機会のロス
・集客人数のロス
・社会的信用度のロス
・上司からの評価のロス
2.リスティング広告の配信前チェック漏れを防ぐ方法
『リスティング広告で発生する配信前チェック漏れによる損失とは?』でご紹介したリスティング広告で発生する配信前チェック漏れに対して、チェック方法をまとめております。
配信状況の報告タイミングを想定する方法
自社での広告配信では、概要シートの作成がおすすめです。シート内には、配信概要(配信期間や広告文など)を記載し、報告スケジュールも記載しておきましょう。
〈報告スケジュールの例〉
9/25 広告の登録完了
9/30 広告審査状況報告(担当者Aから上司Bへ)
10/1 広告配信開始
10/2 広告配信開始報告(担当者Aから上司Bへ)
10/8 広告配信開始1週間報告(担当者Aから上司Bへ)
⇒予算消化状況と途中結果の報告
10/22 広告配信開始中間報告(担当者Aから上司Bへ)
⇒予算消化状況と途中結果の報告
10/31 広告配信終了
11/3 広告結果報告(担当者Aから上司Bへ)
⇒予算消化と最終結果の報告
アクセス解析ツールでの分析設定のおすすめ
まずは、目的の整理が重要です。リスティング広告の配信でどのような目標を達成したいのかとよく確認しましょう。もし認知拡大であれば画像広告(GDNやYDA)が良いかもしれません。このような提案で1ランク上のマーケティング担当者を目指しましょう。
〈分析設定の考え方の例〉
目標:ECで商品Cの売上を100個から200個に増加させる
設定すべき分析設定:
①コンバージョン
商品Cの購入件数の計測
②マイクロコンバージョン
商品Cページの閲覧ユーザーの計測
③マイクロコンバージョン
商品Cページから離脱しているユーザーの遷移先
①はGoogleアナリティクスで簡単に設定が可能です。2、3は少し知識が必要な設定です。
③は目標が達成できなかったときに、改善点として提案を行う際に活用できます。
キャンペーン設定のチェック項目
すべての項目を見直す必要がありますが、意図しないユーザーへの配信を防ぎ、効率的な配信のためには、以下3つのチェック項目は抑えておいてください。その他全体的なチェック項目は本記事のまとめに記載しますので、ぜひご活用ください。
〈抑えておくべきキャンペーン設定の項目〉
・配信地域
・広告表示オプションの内容
・オーディエンス(性別や年齢など)
広告の審査確認のおすすめ
事前に広告ポリシーを確認しておくことはもちろんですが、『チェック方法:配信状況を上司に報告するタイミングが想定できていない』の報告スケジュールのようにスケジュールを予め設定しておくことが重要です。
〈よくある不承認理由〉
・使用不可の記号が含まれている
・不適切な最大級表現が使われている
1日の予算が正しく設定するためのおすすめ
1日の予算のチェック方法はWチェックを行うことが最も効果的です。複数人で設定内容をチェックすることで、設定ミスを未然に防ぐことができます。
リンク先を間違ったままにしない方法
『配信状況の報告タイミングを想定する方法』の報告スケジュールでいうと広告の登録時や配信開始時に広告設定の管理画面でチェックをすることがおすすめです。自社での広告配信では、1度ではなく複数回、1人ではなく複数人でのチェックを行いましょう。
〈リンク先チェックの注意点〉
・URLをクリックして確認する
・表示オプションなどURLを設定している箇所も確認
3.リスティング広告運用前に必ず確認したいチェック項目
ここまで、自社のでリスティング広告で発生する配信前チェック漏れとそれを未然に防ぐチェック方法を解説してきました。弊社では、チェック漏れを防ぐためにWチェックの体制を整えております。複数人で複数回のチェックを行うことでチェック漏れによる損失を防いでおります。
また、今回は重要な部分のみの解説となりましたが、リスティング広告配信で効果の最大化を行うためには、様々な設定が必要です。
〈リスティング広告の設定項目例〉
・配信期間
・広告文
・キーワード
・審査状況
・オンオフ設定(キャンペーン、広告グループ、広告文アセット)
・配信地域
・オーディエンス設定
・予算入金
・1日の予算
・配信の時間帯と曜日
また、上記設定以外にも、対象外(除外)キーワードの選定など、配信効率が上がる上級者テクニックもございます。
まとめ ~広告チェックリストについて~
自社でのオンライン広告運用において、コスト削減だけでなく、効果を最大化することは至上の目標です。ミスやロスのない自社でのオンライン広告配信のために今回ご紹介したチェック方法を活用してみてください。
弊社が提供している広告チェックリストでは、本記事の『リスティング広告運用前に必ず確認したいチェック項目』でご紹介したリスティング広告の設定項目の全リストがございますので、ぜひお問い合わせください。